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行列表現によるカップリング表記の考察

2006年8月6日 日曜日

我々オタクの世界では、恋愛のカップリングを積の演算子で示す表現が普及している。また、しばしば恋愛以外の人間関係を疑似恋愛にたとえてこの表現を用いることがある。

たとえば、瑞穂×紫苑(処女はお姉さまに恋してる)、祐巳×瞳子(マリア様がみてる)、雄真×準(はぴねす!)などである。

この演算子は、第一オペランドを“攻め”(男女の恋愛関係における男性役)、第二オペランドを“受け”(同じく女性役)と定義されている外積演算の一種であり、二つの被演算子の位置を入れ替えると、意味が大きく変化する(すなわち、可換ではない)。

例えば、「瑞穂×紫苑」とした場合は瑞穂きゅんを男性役、紫苑さまを女性役とした通常の恋愛関係を示すのに対し、「紫苑×瑞穂」と性役割を逆転して記述することで、瑞穂きゅんのかわいらしさを紫苑さまが引き出す、という倒錯的シチュエーションを得る。

ただ、最近は演算子の種類と表記方法が増えているという指摘があり、二項演算子の組み合わせと、その優先順位の不確定性をうまく利用した表記が紹介されている。

例えば、A+Bとは、二つのオペランドの次元が等しい、かつ可換性をもつことから、友情レベルのつきあいを示す。
また、A→B(AならばB)は論理演算子であるが、Aが偽である場合には演算そのものに意味がない(式は恒真だが、それを満たす集合がφである、すなわち存在しない)点を指摘し、Bの気持ちが式(ストーリー)全体の意味を決めるという観点から、AからBへの片思いを表現している。
そのほか、私が紹介されていたページで見た“BAB”という表現も、おそらくは行列の対角化に起因する、内積の演算表現(外積と違い、可換性を持っていることに注意)と考えれば、対等な関係、とか、襲い受け・ヘタレ攻めといった関係を表現できる。

また、上記二項演算子を組み合わせて横恋慕などの参考演算子も定義されているようだ。詳しくは上記リンクを参照されたい。

紹介されたページを見ると、どうやらカップリング表記は未だ増え続けているようで、数学的体系にまとめるまでには、しばらく様子を見なければいけないようだ(笑)