おとボク関連の友人のつてで、おとボクの衣装でお世話になっているコスプレ業者「萌部」のショールームにおじゃますることとなった。
ショールームに入ると、担当の方とともに、H2Oの制服が出迎えてくれる。縫製を見ると、おとボクの衣装と同様、ラインがしっかりしていてとてもきれいに見える。色もリアルで、H2Oコスプレと言われなければ、普通に制服で通るんじゃなかろうかという出来の良さ。担当の方いわく「この衣装でピアノの発表会に出て、コスプレとばれなかった人がいる」とのこと。納得せざるを得ない。
さらに細かい話を伺うと、これまたこだわりが満載。ベストとスカートの裏地に「原作通り」チェック柄が用いられている、というのはページに書いてある通りだが、チェック柄の生地を見せていただいたが、生地のつなぎ目が一見分からない。縫い合わせる際、柄のラインを合わせる指定までなされているとのことで、市販されている「普通の洋服」に必要な高等技術がふんだんに利用されている。
また、縫製についても、オリジナルパフスリーブセーラー服を例に取り、国産品の高い縫製技術と、それを生かすための高級生地の選定や芯の堅さの設計などに気を配っているとのことで、中国産の製品と比較して品質の違いを見せつけられる。
当然、話はおとボク制服にも広がる。おとボク制服の場合、「スカートが丸く広がる」かつ「腰のラインがきれいに出る」ための縫製の工夫がなされている。そのために、通常であれば腰のあたりで一度切断するほうが簡単(例:オリジナルサーキュラーワンピース)なところ、あえて布を切らずに使い、腰のあたりのラインをなめらかにする工夫をしている。また、男性用・女性用ともに設計段階から体型を考慮しており、XLサイズなどは男性用のトルソーを用いた設計を行っているとのことだった。
胸のブローチについても高いこだわりを見せていて、造形の専門業者を利用することで、ほぼ完全な形が再現できたとのこと。初期の制服のブローチは安全ピンが外れやすかったが、販売を重ねていくうちに接着方法を改良しているとの話もうかがい知ることができた(帰宅後、実際に手元で確認したところ、最新版のものは、初期のものに比べて圧倒的に強い接着方法を用いている)。
他にも、原作をしっかりプレイして衣装に関する理解を深めているとのことで、ワンピースとブラウスを分離する設計を提案した(上記リンクの写真に「ブラウスのみ」の写真が掲載されている)他、おとボク冬服のXL/XXLサイズはかなりの需要を見越して生産を行った、という裏話も聞くことができた。実際はそれでも冬服XLは瞬殺、XXLも早くに初期生産分が完売しているわけだが、原作を深く理解しているが故に、おとボクの「斜め上」に少しでも食らいつくことができた証左といえよう。この判断がなければ、私がコスプレ衣装を身にまとうことはなかったかもしれない(笑)。
参考まで、私の場合「胸は大きい方が見栄えがいいだろう」との適当な判断のもと、贅肉を寄せてAカップの胸を作り、さらにB〜Cカップ用のウレタンパッドを使って胸を大きく見せる工夫をしているが、それを告げたところ、「Eカップでもきれいに見えるように作ってあります」とのコメントをいただいた。
驚かされたのは、オリジナルしましまショーツ(細ボーダータイプおよび太ボーダータイプ)に関するこだわり。生地の質や縫製技術、下着としての使いやすさはもちろんのこと、しましま模様が「どの色から開始されるか」などの細かい指定が製品のイメージを左右するとのことで、コストを犠牲にしてでも模様の指定を行っている。
当然、奏ちゃんショーツにも指定は生かされている。
また、webサイトの製品写真は、訪問したショールームにて、担当の方とモデルの方による綿密な打ち合わせのもと撮影されるとのこと。上記おとボク冬服の「ブラウスだけ撮影する」写真もその一枚ではあるが、それ以外にも、随所にこだわりが存在するとのこと。
今回は、愛情と技術力による品質の高さに、ただただ驚かされるばかりであった。上記にも書ききれないほど多くの「こだわり」を伺い、また感じ取ることができたのは大きな収穫といえる。これほどの品質をきちんと見て取れるコスプレショップはほとんど存在しないと言って良いだろう。
コスプレをしていて常に思うのは、おとボク制服において萌部製品はあらゆる他社製品と比較しても再現性や品質が群を抜いて高いということである。
確かに値段は張るものの、値段に見合った最高級のコスプレ衣装であることは間違いない。現在の最高級品質にこだわり続ける姿勢を続ける限り、「違いの分かる人」にとって、萌部は唯一の企業でありつづけるだろう。