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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その48

この話は、Key・VisualArts「Kanon」、ティーアイ東京「Air&KanonTCG」から取材しました。 関係する会社名・商品名および一部の人名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 以上をふまえた上で、お楽しみいただける方は、この話をお楽しみ下さい。

第48話~セブンラッシュ~

夜。

おのおのが、秋子さん特製デュエルディスクの操作感覚を確認して、デッキをチェックする。

そして、眠りにつく。全員、同じ部屋で。

栞の精神は敵にとらわれている。

名雪はそもそもこのプロジェクトに参加していない。

秋子は周りの見えない男・たくみの思考回路を扱うのに精一杯。

だから、気がつかなかった。

天野美汐の姿をした相沢祐一が、いつのまにかいなくなっていることに。

そして、戦いの日の朝。

問題とされていた香里(たくみ)、祐一(舞)、よしひろ(あゆ)の調子もすっかり回復していた。

デッキ調整も完璧、特製デュエルディスクのメンテナンスも完璧。

「まず、ペアを作っていただきます」

松下言美の宣言によって、ペアが組まれる。

佐祐理(香里)とあゆ(美汐)。

舞(佐祐理)と祐一(舞)。

香里(たくみ)と栞(よしひろ)。

よしひろ(あゆ)とたくみ(秋子)。

秋子(大輔)は単独で、沢渡・松下の警護。

作られた4つのペアは、戦力の均等分散という観点に置いて、最高の組み合わせとも言える。

そして、沢渡はそれぞれのペアに、一枚ずつの紙を渡した。

これから乗り込む要塞の、簡単な地図。

入り口は1カ所。そこから、4つの通路に分かれて、それぞれが王の間にのびている。

それぞれの通路をペアで通り抜けて、うまく玉座に到達する。

玉座にいる、沢渡真琴を倒す。

司令塔ペアは秋子(大輔)とともに入り口に留まり、可能ならば『通り抜けることができそうな』ペアをフォローする。

戦いの情報は、気配で分かるらしい。

要塞までの道のりに、敵はいなかった。

罠かと疑ってみたものの、松下の言葉を信じるのであれば、まともな戦力はほとんどいない、ということのようだ。

ただし、少数精鋭。

入り口を固めて、それぞれの通路をふさぐ。

単純であるが、沢渡真琴を守るには最高効率の配置。

それを破るための戦略は、地図に書き込まれている。

あとは、実行するだけである。

入り口の警備を突破すると、さらに3グループの警備小隊が現れた。

「ここは無視して突破してください!」

沢渡の指示により、4つのペアは散開する。

次の瞬間、敵の各グループのリーダーは、秋子(大輔)とともに、姿を消していた。

残った敵は、混乱と共に一網打尽にされる。

数体の敵を残して、すべてのペアがそれぞれの通路に突入した。

よしひろ(あゆ)とたくみ(秋子)のペアは、ひとつの警備小隊を目の前に、立ち止まっていた。

(どうしよう、秋子さん……)

よしひろ(あゆ)の問いかけに、たくみ(秋子)は、目だけで答える。

(合図をしたら一気に突破するわ)

一瞬のアイコンタクトの後、たくみ(秋子)は声を張り上げる。

「1,2,……3!」

そして、よしひろ(あゆ)が走り出した瞬間、警備小隊ひとつは、たくみ(秋子)と共に消えた。

「秋子さん!?」

よしひろ(あゆ)の言葉があたりに響く。しかし、声の主は決して走る速さをゆるめない。

長いようで短いルートを走りきってしまえば、目的の場所へと到達する。

(……あれ?)

走っている途中、あゆは気がついた。

よしひろの体では、あゆの持つ奇跡の力は全く使えないことを。

引き返す訳にもいかず、かと言って何も考えずに突入するわけにも行かず。

少しためらいを見せたよしひろ(あゆ)の視界に、中年の男性がひとり現れた。

このあたりのKanonTCGの拠点でもある、沢渡が働くカードゲームショップのオーナー兼店長。

「遠野と申します、一手の御指南をお願いしたい!」

遠野がかざしたデュエルディスクに、よしひろ(あゆ)が引き込まれる。

そして、2人は現実世界から、いったん姿を消す。

香里(たくみ)と栞(よしひろ)は、知り合いの姿そっくりの、1人の人間を通路の曲がり角で見かけた。

「よしひろさん、退いていただけませんか」

栞の姿をしたよしひろに向かってその言葉を投げたのは、美汐の姿をした祐一。

「大丈夫、情報はリークしてません」

美汐(祐一)の言葉に疑問を覚える栞(よしひろ)。

「なるほど、私たちの現状を詳しく知っているのは、そちらでは美汐ちゃんだけなのね」

香里(たくみ)が、慎重に言葉を選んで美汐(祐一)に問いかける。

「ええ、そういうことです、香里先輩」

美汐(祐一)が香里(たくみ)に答えると、

「よしひろさん、あなたは通しません」

栞(よしひろ)に向き直る。

(あれ、なんで俺が「よしひろ」で、たくみさんが「香里」なんだ?)

栞(よしひろ)が香里(たくみ)にアイコンタクトをする。

(誰かいるんだろ)

(なるほどね、それじゃ、先に行ってて)

(OK)

栞(よしひろ)が、腕にはめた装置を美汐(祐一)にかざす。

数秒にわたる操作の後、栞(よしひろ)と美汐(祐一)の姿が消えた。

そして、香里(たくみ)は通路を走り出す。

美汐(祐一)の立っていた曲がり角を通り抜け、さらにもう一つ曲がる。

「香里ぃっ!」

その声と共に、香里(たくみ)は、突然重力が消えたかのような浮遊感を覚える。

そして、透明な地面で、何もない空間を認識すると。

目の前には、初めて見る女性。

「香里……悪いけれど、ここで消えてちょうだい」

黒い髪の毛をストレートに伸ばした彼女は、香里とほとんど同じような体格だった。

Kanonのゲームに、確かこんなキャラがいたような気がする。

……主人公・相沢祐一の幼なじみ・水瀬名雪。

「久しぶりね、名雪……でも、今はあなたにかまっている暇はないの!」

香里のポーカーフェイスを借りて、事実さえもゆがめるたくみの言葉。

戦いは、スタートラインへとさしかかった。

舞(佐祐理)と祐一(舞)。

ふたりの行く手を阻んだのは、川澄愛。

一瞬の油断もできないような緊張した静けさの中、舞(佐祐理)が、ゆっくりとデュエルディスクを構える。

が、構えようとしたその電子機器が、動作することはなかった。

大きな音を立てて、物体――舞(佐祐理)のデュエルディスクが墜落する。

「舞……悪いけど、美衣の1キルは使わせない」

そう言うと、木刀を一本取り出す。

「覚悟!」

愛が振りかぶった木刀を、舞(佐祐理)はぎりぎりでかわし、背中に背負ったこれも木刀を取り出す。

「Go!」

舞(佐祐理)の言葉に合わせて、祐一(舞)がトップスピードで駆け出す。

「させない!」

祐一(舞)に追撃しようと、愛が一歩を踏み出す。

その一瞬の隙を狙って、舞(佐祐理)が渾身の一撃を繰り出す。

対応が遅れた愛は、舞(佐祐理)の一撃を受け、転ぶ。

追撃を入れる舞(佐祐理)の剣をなんとか受け止めると、既に祐一(舞)に追いつける距離ではなくなっていた。

そして、祐一(舞)がしばらく行くと。

「ゆういちっ!!助けて!!!」

ボイスレコーダで録音したような、違和感のある舞の声。

その声と共に、横殴りの強い衝撃が祐一(舞)を襲う。

そして、衝撃で吹き飛んだ祐一の体は倒れ、動かなくなった。

佐祐理(香里)とあゆ(美汐)。

このルートには、果たして誰もいなかった。

いや、正しくは北川がいたのだが、佐祐理(香里)が一撃の下に北川を葬ると、何事もなかったかのように駆け足でルートを進んでいた。

しばらく走り続けると、視界が開ける。

そこには、香里や美汐たちの教師であった、 沢渡真琴先生とそっくりな女性――いや、本人より5歳は若いであろうか――が、目をつぶって立っていた。傍らには、1人の男と1人の女。

「ビンゴ」

佐祐理(香里)のつぶやきが、あゆ(美汐)の耳に届いた。

つづく。

あとがき

今までに出てきた主要キャスト、ほぼ全員登場です。

ここから、話は一気に収束予定。予定は未定。

そして北川南無。

でも、エンディングは考えてあるんですよ~(^^;;

ではでは、次回をお楽しみに~。