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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その37

この話は、Key・VisualArts「Kanon」、ティーアイ東京「Air&KanonTCG」、および秋葉原周辺地理から取材しました。 関係する会社名・商品名および一部の人名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 以上をふまえた上で、お楽しみいただける方は、この話をお楽しみ下さい。

第37話~旅立ちの前に~

2002年3月1日金曜日午後2時。

東京は秋葉原の、『街づくりハウスアキバ』。

9人のKanonTCGプレイヤー。

彼らがプレイしているのは、タッグ戦。

2対2のテーブルがふたつ。

そして、それを見ているのは……今回の大会を主催した、菅野たくみ。

「……ふぅ」

タッグ戦が終わって、Kanonオンリーの公認大会を待つ休憩時間。

大会会場の片隅で、たくみが、一息つく。

「たくみさん、どうしたの?」

そこに、香里が話しかける。

「いえ、ちょっと考え事をしていただけです」

「どんな?」

「あと、十日なんだな、と思って……」

「私たちの生まれ故郷?」

「ええ……自分が、どれだけ『東京の上級者』に近づけたのかな、って……」

そう言いながら、たくみが思い出すのは、美汐の配った文書。

今までの試合は、あきらめたプレイをやってもほとんど問題はなかった。

しかし、今度は……目の前の女性と、その実家周辺の住民の、命運がかかっているのである。

「心配ないわよ」

「え?」

「たくみさんは、努力し続けてきたわ。 それで、今までは絶対に勝てなかった、いくつものデッキを、少しずつ乗り越えてきたじゃない。 それに……戦うのは、あなたひとりじゃないってことよ」

そう言って、香里は、会場中央のフリープレイをしている人々に視線を移す。

そこには、よしひろの猫と、美汐の羽が互角の勝負を見せていた。

「なるほど……よしひろさんにまことさん、それに、森さんもいるんですよね……」

そうつぶやくたくみの表情から、暗さが消える。

「あと、あたしと向こうのメンツもね」

おどけた顔で、自己主張をする香里。

「そうでした、すみません、Aらんちさん」

2人で、小さく笑い合う。

そして、休憩時間が終わり。

「それじゃあ、始めますか……みなさん、デッキシートとスコアカードの準備はよろしいですか?」

「うーん、たくみさんの進行、おもしろかった」

「へえ、そんなにおもしろかったんだ……参加すればよかったかなぁ」

「まあ、でも試合の進行は、いい加減だったわりにスムーズだったから、いいんじゃないかな」

「そうなんですけど、大会の賞品に値札が貼りっぱなしなあたり、爆笑でしたよ」

大会が終わって、深夜の部に参加しているメンツは、それぞれの感想を語り合う。

中心人物は、いつものように、よしひろと森大輔。

明日のアルバイトに備えて帰ったたくみと、一足先に帰省の準備をする香里と美汐はその中に含まれていない。

「……たくみさん、あの戦いに、ついてこれるのかな?」

ふと、つぶやいたよしひろの一言。

「さぁ?強くなってはきてるけどね。ただ……間に合うかどうかは分からないけど」

「大丈夫でしょ。菅野君は鬼道衆のブレインだから」

「まあ、そうですけどね、ただ……」

「ん、考えても仕方ない。よしひろ君、その話はもう終わりにしよう」

「そうですね」

そして、雑談に耽る一同。

KanonTCGの話題、即売会の話題、M:tGの話題……。

花が咲いた雑談話は止まることなく、3月上旬の、空っ風の冷たい東京の空気に、少しだけあたたかみを加える。

そしてかれらは、いつものとおり、徹夜コースをまっしぐらに歩いていく。

明日は、楽しい一日になるのだろうか……。

そして、一週間と少しが過ぎた、決戦の日。

東京駅。

新幹線は、東京から上野駅、大宮駅を伝って、北のほうへと走る。

次の新幹線を待つホームに、香里、美汐、よしひろ、森大輔、菅野たくみの5人はいた。

「みんな揃った?」

香里が、声をかける。

「5人だけでいいんですよね?」

「ええ、結局、みんな本当に辞退しましたからね」

「仕方ないよ、しばらくずっと向こうにいるんだし」

「申し訳ありません……」

「……それはそうと、そろそろ電車が来るわよ」

雑談が始まりそうなところを、香里が止める。

まるで、遠足の引率者である。

そして、新幹線はすぐにやってくる。

「それじゃあ、行きましょう」

香里の一言で、一同は新幹線に乗り込む。

行き先は、香里と美汐の故郷。

果たして、これから何が起きるのか……

賽は投げられた。

後は、目が出るのを待つだけである。

つづく。

あとがき

今回は、前日ですね。

結局、鬼道衆で参加させるのは、この3人だけにしました。

単純に、たくさんの人間をSSで使いこなすのが無理だっただけです(爆)

というわけで、他の秋葉原メンツは、第4章のエピローグにでも登場してもらいましょう(強制)。

ちなみに、私は、鬼道衆の古参メンバーでは一番KanonTCGの実力がないです。

そして、舞台は今度こそKanonの街へ。

ではでは、次回をお楽しみに~。