elder-alliance.org トップ   ブログ   サークル   KanonTCG   マリみて   おとボク

elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その35

この話は、Key・VisualArts「Kanon」およびティーアイ東京「Air&KanonTCG」から取材しました。 関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 以上をふまえた上で、お楽しみいただける方は、この話をお楽しみ下さい。

第35話~終わりの始まり~

9月半ば、いつものリーフファイトTCGの平日トーナメント。

「……はい!そこで終了です!」

店員・沢渡真は、スコアカードを回収し、次の試合を始める。

参加者は、いつもの固定メンツ。

人数が少ないうえ、大会の進行は分かっているので、試合は手早く進む。

そして、全試合を終了、表彰も終わり、閉店間際。

一人の女性が、この店に訪れた。

「すみません……カードゲームを見たいんですけど……」

美しい女性……見た目は、おとなしそうな雰囲気。

「はい、どんなカードゲームですか?」

それに応対する沢渡。

……が、次の瞬間。

「コトミ?」

彼女は、人間としての匂いが薄すぎた。

それを、ただ一人かぎ分けた青年が、彼女の名前を呼ぶ。

「えっ……マコト?」

「コトミ……どうしたの? みんな、2週間近くコトミのこと探してるよ」

「知ってる。ねえ、聞いて……まずいことになったわ」

「え?」

「マコト……あなたの母さんの、憎悪がふくれあがってる。もう手遅れ……」

「ちょっと待って、コトミ。どういうこと……?」

「……あれ?マコトには話していなかったっけ。今回の調査の目的」

「『うちの一族の足跡をたどり、彼らの目的が達成できたかどうかと、奇跡にからんだ人間のその後を確認する』だよね……」

「その目的よ」

「なぜ、足跡をたどるかってこと?……それは聞いてない」

「なら、今説明するわ。長い話になるけど、いい?」

「ちょっと待って……いま、アルバイト中だから、デュエルスペースで待ってて。 あと1時間もしないうちに終わるから……」

「その間……私は何をしてればいい?」

「待ってるのが退屈なら……店長の、カードゲームの相手でもしていて」

「分かった……」

閉店時間も過ぎ、沢渡真は、清掃作業をとっとと終わらせる。

カードゲームにいそしむ関係者2人を脇目に見ながら。

そして……すべての閉店作業を終えると、沢渡はそこに近づく。

「店長……閉店作業、後は売上金だけです」

「おお、沢渡。お疲れ……あまり彼女を待たせちゃ嫌われるぞ♪」

「そんな関係じゃないですって……」

「まあ、そう言うことにしておこう。……じゃあ、あとはごゆっくり」

そして、その場に残った2人……沢渡真と、狐社会の上司・コトミ。

コトミが、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す……

「……単刀直入に行くわ。 足跡をたどる目的だけど……憎しみの力の、危険度を測るためよ」

「どういうこと?……それに、憎しみの力って……?」

「憎しみの力。……その前に、奇跡について確認しておくわね。 一族の中で、人と暮らしたいと強く願ったものは、子孫を残した後、残った力で人間の姿になれる……まず、そこまで良いわよね。」

「うん、母さんも、爺さんも、曾祖母さんもそうだったよね」

「そう。人に化ける奇跡……自分の命を賭した、危険な行動。 その奇跡を起こして、自らの命と記憶を引き替えにして、願いを叶える。 願い……自分の思い人と、一緒に過ごすこと、くらいだろうけどね。 でも、奇跡を起こしてもなお、目的を達成できないものもいるの。 例えば、あなたの母さんとか……。 まあ、このケースはまれなんだけどね」

「まさか……その、まれなケースが問題なの?」

「そうよ。だんだん話が読めてきたわね……。 で、ここからが本題なんだけど……憎しみの力は、このケースに当たった狐が、命を落とした後に発する力。 それも……亡くなってすぐではなく、数世代経ってから。 つまり、今回は……その、憎しみの力を持った狐がいないかどうかの調査が目的だったのよ」

「僕が調べた限りでは、母さん以外の誰も、そのケースには当てはまらなかったけど」

「タカからの報告で分かってるわ。 でも、問題は、その『母さん』なのよ」

「まさか……母さんが、その憎しみの力を持った狐?」

「そうよ。そして、恐れていた事態が起こった……」

「恐れていた事態?」

「ええ。憎しみの力の暴発……」

「その力が暴発すると、どうなるの?」

「その、憎しみの力を持った狐によって、狐の法術はおろか、この周辺地域の法術的な力すべてが、支配されるの。 ……だから、心に関係する不協和・混乱は、かなり多くの場所で起こる……もしくは、すでに起こっているに違いないわ。 当然、狐の法術が支配されてるわけだから……私たちの社会は、消えるでしょうね」

「なるほど……で、対処法は?」

「憎しみの力は、心の力よ。 ならば、目には目を……心の力で、彼女を倒すしかないの。 その力を……2週間くらい前かな?ここで感じたのよ」

「2週間くらい前……ここで、KanonTCGの大会が行われた日……」

「KanonTCG? なんだか知らないけど、それが心の力をふくれあがらせてるのね」

「たぶん……ただ、上位者の多くは、東京に住んでるから、すぐに呼ぶのは無理だと思う」

「問題ないわ……どうせ、後半年くらいは手が出せないから」

「え?」

「なんで、私が直々に野に降りてきたと思うの……? 私では、憎しみの力を抑えきれなかったからよ」

「コトミが、抑えきれない?」

「ええ。……憎しみの力が頂点に達している、半年くらいはたぶん手が出せないわ」

「そんな……」

「憎しみは、ずっと高まっていることができない、負の感情……だから、できるだけ待った方がいいの」

「でも、それじゃあ、この街が……」

「ええ。だから、ふたつの条件の交差点……来年の、3月中旬。」

「?」

「私が依頼した、奇跡を起こした者達への追跡調査はもうおしまい。 そのかわり、その、『東京の上位者』だっけ? 強い心の力を持った人間を、可能な限り多く集めなさい。 それが……この街を救う、唯一の方法だから」

「分かった……可能な限り、何とかしてみるよ」

話に決着が付いた2人は、会計の不一致に悩む店長に一言挨拶をして、その場を立ち去った。

次の日の夕方。

天野美汐の携帯電話に、こんな留守録が入っていた。

「もしもし、沢渡です……天野美汐さんですか?

込み入ったお願いがありまして電話いたしました。

じつは、来年の3月の中旬……こちらに戻っていただけるときに、東京のKanonTCGプレイヤーを、できるだけ多く連れてきていただきたいんです。

期間は……そうですね、3/10~20くらいまででしょうか?

詳しくは、PCのメールアドレスに送信します。

この街の命運がかかっているんです……ぜひ、お願いします」

つづく。

あとがき

今回は、つなぎのお話です。

一瞬の煌めき高野僧の法術Hなお仕置き後編で、 少しずつ明かされてきた目的……ここで、一気に公開です。

設定がいっぱい増えて大変ですが、一応、Kanonを下敷きにして整頓するとこんな感じです。

沢渡真琴、祐一と結ばれるのに失敗(栞ハッピーエンドが基準のため)→反動の「憎しみの力」によって街を支配→オリキャラ2人(マコト、コトミ)、解決に動く

ではでは、次回をお楽しみに~。