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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その24

*この話は、Key・VisualArts「Kanon」およびティーアイ東京「Air&KanonTCG」から取材しました。 関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第24話~楽しい晩ご飯~

その日の夕方。

「おじゃましま~す」

着替えを持って、栞が帰ってきた。

居間に向かうが、そこには誰もいない。

「……祐一さん、上かな?」

そうつぶやいたとき、電話が鳴った。

「あ、はい……(えっと、祐一さんの家だから)相沢です」

「あれ?雪国大学総合病院のものですが、こちら……水瀬さんのお宅ですよね?」

「あ(、そう言えば、水瀬秋子さんの家でした)、そうです、水瀬です」

「水瀬名雪さんか、相沢祐一さんはご在宅でしょうか?」

「ちょっと待ってください、探してきます」

そう言って、栞は電話を保留にして、上の階へ向かう。

「祐一さん、電話です!」

栞は、祐一がいるといわれた部屋に駆け込む。

「祐一さん!」

……しかし、そこはもぬけの殻だった。

「祐一さん、どこですか~?」

仕方がないので、栞はそのまま、祐一を呼びながら、家中を歩き回る。

「どうしたの、栞?」

香里が部屋から出てきて、栞を呼び止める。

「あ、お姉ちゃん。病院から電話です、祐一さんに」

「……あたしが出るわ」

そう言って、香里は電話に出る。

「はい、お電話代わりました……はい、あ、そうですか?ありがとうございます、それではすぐに伺いますのでお願いします」

香里の表情が明るくなる。そして、電話を切ると、すぐに上の階へ駆け出す。

(どうしたんだろ、お姉ちゃん……)

栞も、こっそりついていくことにする。

「名雪、のーむさんの保険証はどこ?」

「香里……?どうしたの、そんなに慌てて」

「のーむさんの容態が回復したのよ!」

「え?お母さんが?」

そう言って、名雪が香里の前に出てくる。

「分かった、じゃあ、保険証探すね……香里、お風呂入ってきた方がいいよ」

「え?」

「そんな小汚い格好、祐一でもしないよ……」

「あ……」

香里は、自分の格好をチェックする。そう言えば、おとといは帰省の準備で、昨日は交通事故騒ぎで、風呂に入るどころか、着替えをした記憶すらない。

「そうね……ちょっと、お湯もらうわ。お風呂どこ?」

「階段の近くだよ」

「ありがとう」

香里が階段を下りる。そこで、栞と鉢合わせになる。

「あ、栞。着替えは?」

「はい」

「ありがと、ちょっと、お風呂に入ってくるわ」

「行ってらっしゃい」

シャワーを浴びて、新しい服に着替えた。

ある程度、身だしなみも整えた。

名雪から保険証を預かった。

お金は……とりあえず、一万円もあれば十分だろう。

「それじゃ、あたしは病院に行って来るわ……誰かついてくる?」

「あ、わたしも行くよ~」

「……名雪、人のこと、小汚いって言ったのは誰だっけ?」

そう言って、香里は名雪を鏡の前に立たせる。

「あ、ごめん。前言撤回するよ」

「そう、じゃあ、私1人で行って来るわ」

そう言って、香里は病院に向かった。

手続きをしている間、看護婦は秋子について語ってくれたが、まだ、もう少し回復するまでは面会謝絶状態らしい。たぶん、明後日には面会できるだろう。

……その帰り。

香里は、デュエルスペースで、祐一の姿を見た。

(なにをしているのかしら……)

店に入り、祐一のプレイを覗く。

(どうしたのかしら……プレイがずいぶん乱雑で、ミスが多い……)

祐一は、香里が見ていたデュエルで負けた。

「……なに見てんだよ、香里」

「あら、ずいぶんな物言いじゃない。……とりあえず、一万円返しなさい」

「一万円……?何でだよ……」

「のーむさんの入院費用の、仮払い分よ……のーむさんは、今こんな感じだって」

そう言って、香里は祐一の手札(だったカード)から一枚を抜き取る。

そのカードは、『奇跡の生還』。

「秋子さん……助かったんだ……」

祐一の表情が、今度こそ曇りのない明るさを取り戻す。

「そう言うこと。……一万円」

「そんなすぐに払えるかっ」

「分かったわよ……今度、返しなさいよ」

「秋子さんから、な」

「男らしくないわね」

「放っとけ」

そんな会話をしたあと、デュエルスペースから立ち去る香里に、声をかけた女性がいた。

「香里先輩、なにやってるんですか……?」

「美汐ちゃん、あなたこそこんなところで……」

「私は、暇だったから遊びに来ただけですけど……先輩は?」

「ちょっと、知り合いが気になってね……」

そう言って、香里は祐一を指さす。

「……恋人さんですか?」

「妹のね。で、親友の従兄弟で、ライバルの甥」

「先輩とは……?」

「ただの元クラスメイトよ」

「良かった……」

「?」

「いえ、なんでも」

「そう言えば、美汐ちゃん、お菓子作り、得意だったっけ……」

「はい、でもそれが何か……?」

「デコレーションケーキとか、作ってもらおうかなって」

デッキ。英和辞典で引くと、『飾り付け』の意味。

飾り付けられたケーキ、すなわち『デッキ』を意味するお菓子。

その『奇跡』の象徴を名雪に運んであげよう。

そう、今日は、楽しい晩ご飯になる。

その楽しさに、一花添えるのは、神様も喜んでくれるに違いない。

そう考えるだけで、香里の心は弾んできた。

つづく。

あとがき

シリーズ「笑顔と共に」第3回、「楽しい晩ご飯」、いかがだったでしょうか?

デッキネタは封印したって?……前回の話の続きなんだから、これくらいは勘弁してください。

……あのダークな雰囲気から、ようやく抜け出せました。これで悩むのは、私ひとりだけですみます。

KanonTCG、今度のSSではVer.3が入ってくるんだよな~って(爆

次回は、最終回「笑顔と共に」。

秋子さんの回復は、果たして真実か?

名雪は、KanonTCGに戻ってくるのか?

そして、ここ最近出番のない北川は?

それでは、次回をお楽しみに。