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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その21

この話は、Key・VisualArts「Kanon」およびティーアイ東京「Air&KanonTCG」から取材しました。 関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第21話~2人のゴール~

「それでは、ゲームを始めて下さい」

主催者の、ゲーム開始の声がかかり、あちこちでいっせいにゲームが始まる。

「栞、よろしくな……え゛っ」

祐一が笑顔で栞と挨拶を交わそうとしたとき。

「……よろしくお願いいたします」

その表情を見て、祐一は凍り付いた。

まるで、テスト用紙を目の前にした香里……いや、それ以上の殺気を秘めた目。

本気……初めて見る栞の表情に、祐一は意味もなくおびえる。

「じ、じゃあ、デッキのカットを……」

「お願いします」

デッキをカットする一挙手一投足を、その冷たい目で見られる。

(……やりづらいんだけど……)

デッキをカットしただけなのに、祐一は、まるで4回戦を終了した後であるかのように疲れ切っていた。

「……それじゃあ、このロケーションからそちらへ」

第1ターン。先攻をとった祐一は、右端にカードを2枚スタックした後、そこからアタックを仕掛ける。

「……こちらは、『パジャマ秋子』です」

祐一のロケーションは『ブルマ香里』。

祐一の手札が4枚なので、5対5。

ストール単色の祐一は、スートボーナスを2本得て、7点。

(栞は羽だから、ここは逃げるはず……)

祐一の読みは、見事にはずれる。

「では……『ファッションショー』です。コストは『ブルマあゆ』です」

「……通し……」

祐一の対応がないことを確認すると、栞はファッションショーの処理を始める。

1枚目、「ネコミミ名雪」。2枚目、『バスガイド名雪』。

どちらも、『パジャマ秋子』の後ろにスタックする。

「え゛……?」

「それでは祐一さん、手札の枚数は?」

「4枚……」

「では、ネコミミ名雪『気まぐれ』を発動します」

「げ……」

カードを1枚引かされる。結果は「ファッションショー」。

元からあった手札のイベントカードは「奇跡の生還」「高野僧の法術」。

……見事に、奇数コストのイベントばかりである。

「……負けたか……?」

手札を偶数にする方法がなければ、回避できない。

いや、本来は、真ん中にスタックしてある『メイド服真琴』さえ表向きにしていれば回避できたのだ。しかし、現実は、裏向きのままである。

(『ファッションショー』で『小悪魔香里』を呼んで『悪魔の囁き』……あ、無理じゃん……そうだ、『フリフリ栞』がでれば……!)

「『ファッションショー』を使いたい。コストは『小悪魔栞』」

「どうぞ」

今度は祐一がファッションショーを使う。

「1枚目……『ウェイトレス栞』、2枚目……『栞の常備薬セット』。

3枚目……『赤ずきん栞』」

……こちらは、気の毒なほど運の悪い結果。気合いの差が、ここでも出る。

「はい。他には?」

「……ないよ」

「では、『パジャマ秋子』が勝利ポイント置き場に置かれます」

そう、栞はいつもの羽単色ではなく、時計単色で勝負に来ていたのだ。

(あ、こんなところで謎ぢゃむさんとばにらさんがあたってる……)

ヘッドジャッジである、川澄愛は横目でちらっとこの戦いを眺める。

(あれ?……ネコミミ名雪って、あのタイミングでは使えないはずよね……)

ふと彼らのプレイングが気になって、席を立とうとするが。

(あ、ファッションショー!……あれじゃあ、巻き戻せないわ……)

あきらめた。

(どうしたのかしら……あんなぬるいルールミス、彼ららしくないわ……ま、いっか)

少し気になってみたが、所詮自分の手に負えないので、放っておくことに決めた。

……勝負は圧倒的だった。

気合いの入った栞の、神のドローを見せた時計単色に、栞の殺気に動揺した祐一の、ドローがかみ合わないストール単色が勝てるはずはなかった。

後半、

「『競泳水着秋子』が『ウェイトレス栞』へ」

「そのとき、『記憶喪失』!」

と粘るも、

「その後で、秋子に『錬気術』、栞に『偽装』、スートは『恐竜』です」

とかわされ、全く手が届かない。

……結局、祐一は第1戦目を落とした。

また、その流れを止めることはできず、2戦目も栞がとる。

栞は、文字通り「完膚無きまでに叩きのめした」のだ。

祐一にとって、その後は、ほとんど消化試合のようなものだった。

いくら引きがいまいちと言っても、『夢への誘い』3枚装備のストール単色が恐竜に負けるはずはなく、ただバトルの相性だけで勝ち進んでいった。

結果、3勝1敗。栞に付けられた黒星が、重くのしかかる結果となった。

栞にとっても、その後の試合は意味を成さなかった。

スペアカードから投入される『強靱な意志』『妨害される安眠』は相手のキーカードとやる気をそぐのに十分で、さらには『観鈴のトランプ』も『リヤカー』もたった一枚スペアに入れた『大運動会』の餌食。

引きの良さも手伝って、圧勝で進んでいった……が、1人だけ、違うのがいた。

恐竜は恐竜だが、『晴子』中心に、デッキを削ってくるタイプの相手が。

最終戦でその人にあたった栞は、相手のキャラクターをどうすることもできず、 増えていく自分の手札と減っていく自分のデッキを、ただ呆然と眺めて負けていった。

「今回の優勝者は……GINさんです!」

栞の、最終戦の対戦相手が表彰台に上り、賞状と賞品を受け取る。

「それではコメントをどうぞ」

「今回は、一応『2人のゴール』を打てるけど打たない、晴子中心のデッキ破壊で参加しました。

1人だけストール単色がいましたが、あたらなくてほっとしています」

「では、チップで1位は……ばにらさんです。どうぞ」

栞も賞状と賞品を受け取り、コメントを求められる。

「今回は……時計単色で参加させていただきました。

GINさんが怖がっていたストール単色を倒したのは、私です」

「……では、噂のストール単色の方ですが、チップ・順位共に2位でした、謎ぢゃむさんです!」

突然呼ばれた祐一は、とまどいながら賞状と賞品を受け取る。

「あ、……ありがとうございます……」

帰り道。

「ふふっ……祐一さん、どうでした?」

「びっくりした……まさか、栞が時計単色とは……」

「どうです?『完膚無きまでに叩きのめした』んですから、もう『デッキ的再会』とか言うのはやめてくださいね」

「分かったよ……で、栞はデッキタイプは元に戻すのか?」

「いえ、このまま時計で行きます……だって、『愛の告白』なんてカードがあるんですよ」

そう言って、栞は賞品の広告ポスターを祐一に見せる。

「え゛?」

「祐一さんは使ってくれないでしょうから、私が使うしかないじゃないですか」

「何で、俺が……?」

「女の子は、好きな男の人になら、いつ言われても嬉しくて、いつでも言いたい言葉があるんです」

「え……?」

「『好き』って……ね、ほら、『愛の告白』です」

「なるほど……確かに、照れくさいけど嬉しい言葉、だな」

いつの間にか、仲直りした2人。

前よりも、さらに仲は深まったに違いない。

そう、2人のゴールは、ただのスタートに過ぎないのだから……。

おしまい。

あとがき

シリーズ「2人のゴール」最終回、「2人のゴール」、いかがだったでしょうか?

多少、わかりづらいところを補足。

まず、序盤の祐一ですが、栞は羽を使っていると勘違いして、小さなミスをしてしまいます。 『メイド服真琴』のオープンミスです。もちろん、祐一がそれに気づいたのは、『ファッションショー』の効果解決中です。

次に、『競泳水着秋子』ですが、『記憶喪失』を打たれたことで、★=0になります(特殊能力が消えた=★が定義されなくなったため)。 つまり、この時点では3対0で、祐一の方にスートボーナスがつきます。 しかし、「偽装」を打たれたことで祐一のスートボーナスが消え、「錬気術」で3対2まで追いつけば、後は最低2本あるスートボーナスで、 ウェイトレス栞をきっちりしとめることができます。

最後に、なぜ2人のゴールを回さなかった祐一&栞がチップで上位にいるかといいますと、 相手の2人のゴールをカウンターしながら自分のペースでバトルを進めていけば、実際に2人のゴールを打つよりはポイントがたまります。 例えば、相手の「夢への誘い」を3回カウンターすれば、それだけでチップが3点たまります。 逆に、2人で1回ずつ2人のゴールを成功させた場合、(どちらも点数が十分にあれば)結果的に点数は変わりません。

次回は、どのチェインか……公開してしまいましょう。「笑顔と共に」のチェインです。

それでは、次回「身代わり」をお楽しみに。

P.S.

このSSは、ポックリさんの指摘を受け、加筆修正されました。ポックリさん、ありがとうございます。