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elder-alliance.org > 奇跡のかけら > KanonTCGSS > その14
「おっ、Kanon。……美汐、おまえのか?」
第2土曜日、休日の朝食前。天野美汐の父親はインテリアと化しているパソコンのそばに、放置されている一枚のCD-ROMを発見した。
「どうだ、楽しかったか?」
「ええ……胸に突き刺さる、悲しいお話でしたが……」
「……真琴シナリオか。そういえば、誠がいなくなってからどれくらい立つんだろうな……」
「ストロングホールドだったから……3年くらいでしょうか」
「そんなに経つのか……ところで、勉強のほうは進んでるか?」
「心配されなくとも、遊んでいても雪国短大くらいは受かります」
「……父さん、できれば四大に行って欲しいんだが……」
「理工学部なら、四大と同じ扱いです」
「雪国短大の理工?あの、エリートの……?」
「ええ。江戸川哀さんのいる、TCGサークル・トレードウィンドに……」
「……国立に落ちたらな。学費、厳しいんだぞ」
その一言により途切れた会話。後に残る、沈黙。それを破ったのは、台所にいた母親だった。
「……ところであなた、いい加減複数のTCGに手を出すのはやめたらどうです? 美汐みたいに、ひとつに集中するならともかく……」
「……うむ。ところで美汐、M:tGはまだやってるのか?」
「昨日、やめてきました。いい加減、あの環境は……」
「だったら、変なTCGをやってみないか?」
「なんですか?それ」
「KanonTCGだ。父さん、やろうとしたんだが……なにせ、ルールが複雑かつ曖昧すぎて、ついていけない。 そこで、頭のいい美汐ならどうかと思ってな……」
そう言って、父は買い込んだKanonTCGのカードを出してくる。
「フルコンプを目指していたら、キラの『婦警美汐』が出る前に、ノーマル4枚コンプしてしまってな……」
「いらないカードを全ていただけると。ありがとうございます」
……美汐は、朝食を取り終わると、カードを受け取ってから自室へ戻る。そして、突然襲った眠気に誘われるまま、ベッドへ倒れ込んだ……。
「川澄。今日から、新しくはいる『沢渡真』くんだ。よろしく頼む」
その日、店長にそう言われて、私はその子に挨拶する。 ……Kanonに出てきた「沢渡真琴」に、名前だけじゃなく、雰囲気も似てるのは気のせいかな……?
で、彼に一通り、店についての説明をする。
「で、何か質問はある?」
「大丈夫です」
「……そうだ、何かルールを知ってるカードゲーム、ある?」
「えっと……M:tGとKanonなら」
「じゃあ、公認大会の開き方とかも、あとで勉強しようね」
……そうして、働くこと2時間。
「じゃあ、今日は研修だからこれでお疲れさま。明日から、店長の下で頑張ってね」
「はい、ありがとうございました……ちょっと、デュエルスペースで遊んできて良いですか?」
「……私服で、お客様としてならね。私もオフの日はよくやるし」
「ありがとうございます……では」
デュエルスペースで、真はデッキをシャッフルする。
「……爺さん、あなたが人間になった目的の、『天野美汐』はどんな人間だったんだ……?」
深く考えながら、M:tGのデッキを試しに回し、手応えを確かめる。
(このデッキ……爺さんの、心残りのデッキ……)
(今日、天野美汐が来る。そのときこそ……必ず見極めてみせる)
土曜日。普段はその場に現れない、天野美汐が来る。それを、沢渡真は確信していた。
えっと……まず、前回の復習もかねて。
「沢渡マコト」と言う名前の人間(?)が、3人出てきます。2人は現存しませんが……
以下、簡単な紹介。
沢渡誠………天野美汐のもとに現れ、彼女にM:tGを伝授して消えていった男。ゲームでは「あの子」と呼ばれ、現実では「義兄さん」と慕われていた。
沢渡真琴……ゲーム「Kanon」中で、相沢祐一のもとに現れ、消えていった女。現実世界では、未だ語られることはないが……
沢渡真………現実世界で、カードゲームショップのアルバイト。謎を秘めている(第15話で解決予定)。
あ゛~、書いてるこっちまでややこしくなってきた!(笑)
なお、「運命の鎖」シリーズは、一話を短め&話数を多めで続けるつもりですが……どこまでいけるか。
ああ……更新ペース、あがらないよ~、現実世界が忙しいよ~