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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その13

この話は、Key・VisualArts「Kanon」から取材しました。 Kanonに関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 また、「Kanon」のねたばれが一部あります。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第13話~偽装~

「……ありました」

自宅。誰も使わず、パソコンラックに飾りっぱなしでインテリアになっている、Windows95マシン。

その電源を数年ぶりに入れ、ウィンドウズの起動が終わってから、静かにCD-ROMをセット。

ダッフルコートを着た、ロングヘアの女の子のイラストが描かれたメニュー画面で、「セットアップ」を選びます。

(マウスを上手に使って……カーソルが、思った場所に行きません)

(何とかカーソルを合わせて、クリック……何も起こらない)

(……あ、右側のボタンでクリックしていました。改めて、左側のボタンで……クリック!)

四苦八苦しながら、私はセットアップを終え、ゲームをスタートさせます……。

私は、ゲームのメインメニューで、「最初から」を選びました。

どうやら、主人公は男の子のようです。自分の名前を入れても無駄でしょう。そのままの名前でゲームを始めます。

ゲームを進めていくと……

「やっと見つけた……あなただけは許さないから」

……?この子、どこかで見たことがあるような……?

誠義兄さん……ちがう、似てるけど、こっちの画面のほうは、女の子……

殴ってきた……行動が、ちょっと短絡的だけど、義兄さんそっくり……確か、義兄さんはあのとき……思い出しました。 わたしに、悪口の言い合いで負けたんです。

そして、気絶……このパターンも義兄さんと一緒……

家に帰って介抱……わたしの場合は、お父さんと一緒だったから話は楽でしたが……こっちは、ちょっと難しそう……

それからの行動も、しばらくは誠義兄さんとほとんど一緒。身元不明で、記憶喪失なところまで。

「殺村凶子」と名付けられたあたり、義兄さんの「殺村凶一郎」を思い出して、笑ってしまった。

で、発覚した女の子の名前は「沢渡真琴」。義兄さんの名前「沢渡誠」と、読み方は全く一緒。

……あ、違い発見。義兄さんは、父さんから「M:tG」を借りたところが、この女の子は主人公から「漫画」を借りてました。

そう言えば、このときでした、私がM:tGを覚えたのは……

ここからも、私の行動をできるだけトレースしてみましょう…… 基本的には、「行動できるときは行動する」「連れてきてしまった女の子の責任は自分でとる」方向で……。

で、「名雪」さんに何か言われましたが、さすがに夜も9時を過ぎて、出歩けるほど私は強い女ではありません。 ここは、ノートは我慢してもらいましょう。

しかし。こんにゃくはともかく、殺虫剤……

あら?おもしろい選択肢……すぐさま「ノートを広げる」「着替えを持って部屋を出る」。 どっちも、「すぐさま」やることではないでしょうに……難しい選択肢です。

自分の考えでは思いつかないので、意味不明な方、すなわち後者を選びます。……え?あ、そう言うことなんですね……きゃっ。

そして、秋子さんに紹介された保育所のバイトにつきます。

ここまで義兄さんそっくりだと……ドキドキします。最も、義兄さんはカードゲームショップの店員でしたが。

本当にそっくり……反発して、うちとけて、そして……

そんな中、学校に来たその女の子を見つめる女生徒。その仕草や表情が、今の私とほとんど同じところが少し、引っかかります。

そして、主人公のあこがれだった人の名前……「沢渡真琴」。やっぱり、ここも符合します……

で、また女生徒に話しかける主人公。その子の名前は……天野美汐。私……?

……いや、少しだけ違います。私の知らないことを、ゲームの中の美汐は知っている……義兄さんと、あの少女の共通点を。

「私に、あの子の友達になれと……そんな酷なことはないでしょう」

瞬間、美汐の表情が変わる。やっぱり、この子は知っている……義兄さんのことを。 そして、主人公も気づこうとしている。現実世界の私だけが、分からない……。

ものみの丘……小さな子供達が、遊ぶところ……そして、私はふと思い出す。そこで、小さな頃によく遊んだ、狐を……。

(まさか……)

そのまま読み進める。「沢渡真琴」は、どんどん人間としての能力を失い……そして……。

(ここまで義兄さんと同じ……)

結局、私は見ていなかっただけ。ゲームの中の「天野美汐」「相沢祐一」が見ようとして、そしてはっきりと見たものを。

義兄さんは、そして、義兄さんと同じ名前を持つ女の子は、ものみの丘の住人、妖狐。 そして、一瞬の煌めきである奇跡を無駄遣いして、ものすごい数の迷惑と喜びを振りまき、最後に深い悲しみだけを残して去る。

それをはっきりと見すえた、ゲームの中の私。その事実から逃げ出した、現実世界の私。

どちらの生き方も……あまり幸せな生き方には見えません。悲しみが、強すぎて……

……そしてゲームは終わり、私はパソコンの電源を切る。次にパソコンを起動するのは……きっとまだまだ先。 それまでは……また、インテリアになってもらいましょう。

気がついたら、朝でした。

つづく。

あとがき

KanonTCGファンなら誰でも知っている、パソコンゲーム「Kanon」。

果たして、真琴に出会わなかった美汐は、Kanonという自分の世界のアナザーワールドに、何を感じ、何を思うのでしょうか?

私は、Kanonの美汐と、KanonTCGの美汐に、少しだけ差を付けたいと考えていて、 こんな感じにしてみましたが、皆さんにおいてはいかがでしょうか?

天野美汐編、まだまだこつこつと執筆中。KanonTCGにからんでくるのは、まだまだ先です。あしからず。

なお、「運命の鎖」シリーズは、一話を短め&話数を多めで続けるつもりですが……どこまでいけるか。

ああ……更新ペース、あがらないよ~……?