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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その12

*この話は、Key・VisualArts「Kanon」およびWizards of the Coast社「Magic: the Gathering」から取材しました。 Kanonおよび各種TCGに関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 また、「Kanon」および「KanonTCG」のねたばれが一部あります。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第12話~記憶の伝承~

夢。

夢を見ている。

……。

「山を1枚タップ。『ショック』。もう2枚から『火葬』。今タップした2枚の山を生け贄に捧げて、『火炎破』。……これで、こちらの勝ちだね」

「……ずるいですよ。こちらのマナも揃わないうちから……」

「美汐、そっちの青パーミッションに合わせてたら、どんなデッキだって、絶対に勝てないよ」

「……確かに。でも、絶対にそっちの早さには追いつけません……」

「追いつくんじゃないんだよ。カウンターで動きを止めて、相手を遅くさせるんだ。それで、何とか自分のペースに持ち込む。 誰の言葉か忘れたけど、『マナとカウンターをくれ、あとは俺が何とかする』って言えて、初めて立派な青デッキ使いだよ」

「……難しそうです。でも、がんばってみます」

………………。

…………。

……。

今週も、金曜日はM:tGの平日大会である。

ここ数ヶ月、この大会は、月に一度のペースで、ある1人の少女に優勝を独占される状態にあった。

「今週も、優勝者はまことさんです。何か、コメントをどうぞ」

「……今度、7thが発売されますが、それと合わせて、私はM:tGから引退します。皆様、今までどうもありがとうございました。」

「まことさん……今まで、お疲れさまでした。また、機会があれば他のカードゲームでも、M:tGでも、ぜひ遊びに来てください!」

会場から、いっせいに拍手がわき起こる。しかし、彼女は知っていた。 それが、M:tGをやめる自分へのはなむけの拍手ではなく、これからの時代の主役たちの、自分たちが活躍できる新しい世界を歓迎する拍手であることを。 ……要は、自分は孤独な邪魔者に過ぎないと言うことを、十分に知っていたのである。

赤バーン使い、まこと。本名・天野美汐。また1人、M:tGプレイヤーが、姿を消した。

「……とかナレーション付けてみたけど、何でやめちゃうのよ、まこと?」

話しかけるのは、カードゲームショップのアルバイト・川澄愛。彼女もまた、「昔はM:tGの虜だった」元プレイヤーの1人である。

「……7thで、火力カードがなくなったからです」

「赤バーンが消えたって、決まったわけでもないでしょうに」

「本当は、ミラージュ・ブロックがなくなったとき、6thが発売されたときにも、 やめようかって考えましたが……最後の1枚がある限り、続けられれば……って」

「うーん、まことなら、青パーミッション、うまそうだけど……」

「その理由を話すには……あなたでは荷が重すぎるか、笑って相手にしないかのどちらかでしょう」

「そんなことない……できるなら、話して欲しい。1人の友人として、せっかくの結びつきを断ち切るなんて寂しいこと、認めたくないわ」

「かといって、あのことを話す……そんな酷なことはないでしょう!……では、またいつか」

泣きそうな表情を浮かべて、天野はその場を逃げるように立ち去る。あとに残った1人は、その背中に向かって叫ぶ。

「まこと!……あなたのTCGの才能は、もっとすごいものに違いないわ。絶対に、絶対に戻ってくるのよ!」

「……」

ふらっと立ち寄ったゲームショップ。そこで、美汐は奇妙なゲームを目の当たりにする。

Kanon。

一応、「18歳未満の皆さんにも楽しんでいただける~」のくだりがあるから、エッチなゲームではないらしい。

そのパッケージに記された絵は、樋上いたる原画とは言え、間違いなく彼女の学校の先輩で陸上部元エースの「水瀬名雪」の似顔絵に間違いなかった。

気がついたら、財布の中身がからになっていて、その代わりにCD-ROMを一枚持っていた。 裏には、数枚の絵があったが、その中の一枚に、自分の絵が描かれていた。

「えっ……?どういうことでしょう?」

不思議に思った彼女は、家にパソコンがあるかどうかを思い出しながら、足早に家路を急いだ。

つづく。

あとがき

天下に名高いTCGである、Magic:the Gathering(M:tGと記す)。

5色の「マナ」をうまく組み合わせ、さまざまな「魔法」を使って勝利する。

すべてのTCGのデッキタイプの基本が、このゲームには詰まっています……が、環境の変化が他のTCGに比べてあまりに早く、 資産の使えない人間にとっては、カードを集めることそれ自体が大きな障害になってしまいます。私も、それでM:tGをやめました。

そんなM:tGですが、美汐にとってはどんな意味が……?

天野美汐編、まだまだこつこつと執筆中。KanonTCGにからんでくるのは、まだまだ先です。あしからず。

なお、今回から、ポックリさんに見習って、一話を短め&話数を多めにしてみました。いかがでしょうか?

あ……更新ペース、上げなきゃまずいかな……?