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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その11

この話は、Key・VisualArts「Kanon」ティーアイ東京「リーフファイトTCG」および「KanonTCG」から取材しました。 Kanon、リーフファイトTCGおよびKanonTCGに関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 また、「Kanon」および「KanonTCG」のねたばれが一部あります。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第11話~ノーム~

大会終了後、あゆと栞は秋子さんと一緒に水瀬家へ直接帰っていく。

そして、祐一・名雪・香里の3人は、商店街をうろつくことにした。

あるカードゲームショップの前。

「……それじゃ、わたしはここ。」

名雪は、そう言って店内に入ろうとする。

「このカードゲームショップ……」

「これから、リーフファイトの大会だから」

そう言って、名雪は店内のホワイトボードを指す。

「?!……名雪……」

「うん。わたし、やっぱりKanonみたいな、極端なバランスのゲーム、好きじゃないから」

「名雪……Kanonのエキスパンションを見て言ってるの?」

「あんなもの……見るまでもないよ」

「確かに、ベーシックの頃はエターナルが狂ってたけど……今は、違うのよ?」

「今は……バトルが狂ってるじゃない。わたしは、コントロール系のデッキが組みたいの」

「どうしたの、名雪……?」

「わたし、分かったんだ。相手の行動を、自分の好きなように規定する……そのために、うまく立ち回るのがおもしろいの」

「名雪……まさか」

そのとき、香里の脳裏に、「わたしは、本気でKanonTCGをプレイできない。それは覚えておいて」という、名雪の言葉がよみがえっていた。

「だから、あのとき……本気でKanonTCGをプレイできないって……」

「そう」名雪は、ふるえながら声を荒くする。

「もう、自分の手の届かない力に、行動を規定されるのはまっぴらなの!9年前も、2年前も、今だって……!」

「……」

「わたしが、KanonTCGを始めた理由だって簡単。 祐一を、取り戻したかったから。10年前の、わたしと祐一だけで遊んでいた、あのころと同じように……!」

「名雪、それは……」

「ぽんぽこたぬきさん」

今まで黙って聞いていた、祐一が口を開く。

「祐一!?」

「相沢君、ぽんぽこたぬきさんって……」

「……『いいえ』の意味だ。Kanonの、舞シナリオででてくる」

「……で、相沢君。その『いいえ』の意味は……?」

「名雪、勘違いするなよ。あのころだって、俺は名雪にコントロールされていたわけじゃない。あくまで自分の意志で動いていた」

「紅しょうが」

「え?」

「ご飯も、おかずも、みんな紅しょうが。紅しょうがのご飯に紅しょうがを振りかけて食べるの。飲み物はしょうがの絞り汁」

「……ごめん、多少はコントロールされてたかも」

「……多少、じゃないよ。12年前の夏休みが終わってから、祐一があゆちゃんに出会うまで、全部。 わたしとお母さんで、祐一の一挙手一投足をコントロールしてた。あのころは、楽しかった……」

さらっと、怖いことを言い放つ名雪。

「秋子さんなら、確かにできるかも……」

「どおりで、おばさん、パーミッションが強い訳ね……」

「で、あゆちゃんが現れてから、祐一はわたしに見向きもしなくなった。 そのまま、勝手に心を閉ざしていなくなって、7年経ったら栞ちゃん、そして、今はKanonTCG」

「……」

「もう、コントロールの効かない世界なんて、嫌い!わたしは、いつでもコントロールをしていたいの!」

確かに、リーフファイトでのパーミッションは、KanonTCGのパーミッションより強力である。 ……というか、KanonTCGのパーミッションは、現在はそれほど強くない。

だからといって……

「名雪……現実は、そんなに甘くないわよ」

「だから、せめてゲームの世界で、って思ってた。いえ、ずっと思ってる」

「……そうだな。じゃあ、リーフファイトで、ちょっと勝負しよう」

何を思ったのか、祐一はリーフファイトのデッキを取り出した。

「相沢君?」

「大丈夫、どんなカードだって、コントロールしきれない世界は存在するんだ。証明してくるよ」

俺のデッキの早さには、何人たりとも追いつけない。そう確信する祐一が、香里にそっとつぶやく。

しばらく後。店内。

「嘘だろ……俺のルミシューが……」

リーフファイトのデッキが、残り半分くらいだろうか。 祐一の場には、「ルミラ」「エビル」くらいしか展開されていない。 それに対し、名雪のほうは、リーダー「保科智子」を筆頭に、「姫川琴音」「メイフィア」「フランク長瀬」など、キーカードが揃っていた。 バトルカードは一枚もでていない。

「祐一、分かった?これが、今のわたしなの。……もう、止めないでね……」

「……今の名雪を止める力は、俺にはない……」

「うん……」

「じゃあ、大会、がんばってくれ……家で待ってる」

そういって、その場を去る祐一と香里。名雪は、少し淋しそうにうなずくと、デッキの調整を始めた。

「……まさか、名雪があそこまで人の道を踏み外していたとは……」

速攻デッキを完封されて、まだ恐怖が抜けきっていない祐一がつぶやく。

「名雪は、きっと、その『相沢君をコントロールしていた日々』から、抜け出せていないだけなのよ……」

香里が、それに合わせる。

「まあ、リーフの世界はKanonより広いし。きっと、名雪も分かるさ」

「そうね」

「日本中のリーフファイターたちにもまれて、大きくなれよ、名雪……」

きっと、名雪は帰ってくる。そんな思いを言葉に託して、2人はゲームショップをあとにした……。

おしまい。

おまけ1

「ところで相沢君」

「ん?どうした、香里」

「あそこで、『降霊術』だったっけ?2枚ドローするイベント。あれをカウンターしなかったのには、意味があるの?」

「次のターン、『挑戦状』が通ったらって、考えてた」

「……つまり、ぶら下がっていた一縷の望みに賭けて、泥沼にはまっていってたわけね」

「まあな。久々のプレイングだったから、って言うのもあるかもしれないけど」

「相沢君って、単純ね。名雪がコントロールしたくなる気持ちも、分かる気がするわ。栞も、案外そんなこと、考えてるんじゃない?」

「かもな」

「まあ、栞だったら、相沢君ごときにコントロールされそうな気もするけど」

「ごときって……」

おまけ2:

そのころ、水瀬家。

「秋子さん……ボク、何で勝てなかったんだろう……?」

「どうしてでしょうね……?たまには、そう言うこともあるわ。プレイングのひとつひとつを注意深く見てみると良いわ」

「うぐぅ……そうしてみる……きゃっ!?」

突然、背後の人間から胸を触られ、びっくりするあゆ。

「あ~ゆさん。ずるいですよ、あゆさんばかり……私にも、楽しませてください……」

「し……栞ちゃん?」

「ふふふふふ……」

胸を触っていた手は振り払われることなく、その動きがいやらしくうごめく。

「あ、秋子さん!助けて~」

「……あら?」

そんなあゆの乙女のピンチをよそ目に、秋子さんは先程まで栞が食べていたアイスクリームのカップを見る。

「あ……そう言うことね。あゆちゃん、栞ちゃん、酔っぱらっちゃったみたいよ」

秋子さんがあゆに差し出したカップには、確かに「ブランデーをたっぷり使用し……」の一文が。

「と言う訳ね。……あ、お夕飯が。ちょっと待っててね、2人とも」

「うぐぅ、秋子さん、助けて~」

「ふふふ、あゆさん、可愛い~」

酔っぱらい栞にからまれたあゆ。責任を放棄した秋子。あゆの未来はどっちだ!?(笑)

おまけ3

「……そう言えば、今日、Kanonの大会があったんだっけ……」

夕方。実家のこたつの中で、北川がつぶやく。

「あ、これからリーフの大会……いいや、寒いし、面倒くさいし」

こうして、出番を失っていった北川潤君に万歳(笑)

こんどこそおしまい。

あとがき

KanonTCGと言うゲームは、かなりパズル性・戦略性共に高いゲームです。

しかし、バトルを行った場合、ほとんど場からカードが失われることを考えると、確かにパーミッション・ロックを組みづらい環境ではあります。

バトルと一発芸コンボに奇跡のタイプが集中するのも、仕方のないことといえます。

……しかし、一応、Kanonでパーミッションは存在するのですよ……分かります?名雪さん。

手札ロックとか、(5/5Q&A発行前の)噴水公園とか、コスプレ会場ロックとか、逃げバトル奇跡とか……みんな外道だけど(^^;

奇跡タイプが少ないから出来ない、じゃなくて、少ないからこそやりがいがある……そんな考えを、 名雪に持ってもらえたら、また一歩進んだ奇跡に巡り会えたかも知れません。

ちょっと残念な気もしますが、しばらくの間、名雪はKanonTCGリタイアです。

え?キャラ数が多すぎたから、整理したって?……そんなこと言う人、嫌いです!

次回は、予告どおりの天野美汐編執筆中。相変わらず、シリーズの最初はKanonTCGにあまり関係ありません。あしからず。