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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その10

*この話は、Key・VisualArts「Kanon」及びティーアイ東京「KanonTCG」から取材しました。 KanonおよびKanonTCGに関係する会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 また、「Kanon」および「KanonTCG」のねたばれが一部あります。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第10話~シルフェ~

「それでは、第4回戦、最終戦を始めたいと思います」

大会主催者の言葉に、今一度気合いを入れ直す一同。

「では、組み合わせを発表いたします。 謎ぢゃむさん、ばにらさん、Aらんちさん、……、いちごサンデーさん、……、水瀬冬美さん、海原美衣、……、江戸川哀さん、そして、まじかる☆さゆりんさん。 以上です」

そして、席に着く一同。

「……それでは、試合を開始いたします。……はじめ!」

ヘッドジャッジの一言により、大会の最終戦は、静かに動き始めた。

「……とうとう、このときが来たね……栞」

「ええ、私と祐一さんで、本当の勝利者を決める瞬間が……」

……第1決勝卓。私の元クラスメイトと、私の妹が、恋人のような、敵同士のような、奇妙なオーラを発して戦いを迎えている。 その隣で、私は静かに、対戦相手を見る。

「あら?香里ちゃん。緊張してる?」

……名雪のおばさん。たしか、名前は「水瀬秋子」。ハンドルは……のーむ。 私には、目の前の女性が、どのような奇跡を使うのか、全く見当がつかない。

「のーむさん、始めましょうか……」

「ええ、いつでもどうぞ」

「それでは、先攻後攻のダイスロールを……」

「はい」

私と彼女が、同時にダイスを転がす。

私が4、相手が3で、私の勝利。先攻をいただく。

「それでは、最初のドローです……よろしいでしょうか?」

私が発する言葉に動揺するはずもなく、相手はにっこり笑って、

「はい、どうぞ」

と一言。

余裕の笑み?それとも、はったり?

私は、カードを引いて、スタックフェイズに移る……

「先生……本気で行くからね」

「ええ、私も本気で行きますよ」

私が最終戦で当たった相手は、月宮あゆちゃん。ハンドルは水瀬冬美。

私の剣単色が、どこまで通用するか……

……勝負!

1戦目、先攻は相手。スタックは3枚。

「バニーガール名雪を2枚表向けます。で、ネコミミ名雪を表向けます。【気まぐれ】です」

「……対応して、バニーガール名雪に『誘導』よ」

バニーガール名雪が1枚、裏向きになる。私は、カードを1枚引いて、1枚捨てた。

「うぐぅ……それでは、もう一回バニーガール名雪を表向けて、ターン終了です……」

「それでは、私のターン。カードを3枚引きますね……ファッションショー!」

「それを、『強靱な意志』だよっ!」

「それは通りました。では、スタックを3枚。バトル宣言は、こちらは『メイド服舞』、そちらは、その3枚スタックされているロケーションで……」

「『フリフリあゆ』だよっ!……こっちは、スートが1本。先生は?」

「スートが2本です。冬美ちゃん、これで良い?」

「はい。それでは、そちらが勝利します……」

「はい、よくできました。それでは、ターン終了です」

「うぐぅ(なんて、そう簡単にはいかないよっ、先生) ……ボクのターン、3枚ドロー、1枚スタック、『バニーガール名雪』オープン!特殊能力、【気まぐれ】!」

「これで、私の手札は2枚です」

「次は、先生のターンだよっ」

「私のターン、3枚カードをドローします」

「スタックに入る前に、『大慌ての詮索』だよっ」

「手札残り1枚。スタックします……」

……手札をコントロールされた剣単色奇跡、しかし、相手のフィールドには、「赤いビー玉」も、「眠り姫名雪」もありません。……この勝負、どうやら1ターンの差で決まりそうです。

「栞、そっちのターンエンドに『奇跡の生還』。対象は、下の『パイレーツ香里』だ」

「それに対応して、『うぐぅ』です。パイレーツ香里がゲームから取り除かれます」

「……『奇跡の生還』が立ち消えか……」

「あ……」

「?」

「3コスト。『奇跡的再会』です」

「くっ、通し……!」

俺のフィールドには、2枚しかカードがスタックされていない。手札がたった1枚の栞が、次のターンに「大手術」を使うか……

「次のターン、私はカードを3枚引きます。……2コスト。『大手術』です」

「それで2回戦は投了。スペアを投入して、3回戦に行く」

残り時間、あと30分……

時間を、フルに使い切れるのか……?

「……単色バトルなのに、そんなものなの?」

……1ゲーム目が、私の奇跡切れで終了。

こちらは、佐祐理に組んでもらった猫単色バトル奇跡。

相手は、いわゆる「逃げ」タイプの奇跡に、スパイス的に「ふだん着秋子」「ウェイトレス秋子」が入っている。

……しかし、相手、「江戸川哀」は、やけにこっちを挑発してくる。どうして……?

……こう、TCGから一歩はずれて考えてみると、目の前の女性に、少し、死んだ母の面影が見える気がする……

そう思いながら、2回戦、加えたカードは「日本刀」と「ホラー映画のチケット」。

……佐祐理のためにも、勝つ……!

「香里ちゃん?顔色、悪いけど大丈夫……?」

……効かない。こちらの戦術が、全く。

分かっていたはず。本格的に練り込まれた、キャラを散らした奇跡に当たったらこうなることくらいは。

制服アローを確実に決めることを目的とした、早さにものをいわせるタイプのコンボ奇跡では、単スートバトルにしか勝てない。 実際、エンドレスジハドもどきの名雪にはバトルで勝った(名雪のスートのそろいが思った以上に悪かったため)が、 それ以外の戦いは、全て相手は単色バトル(剣単色と羽単色だった)。

が、最終戦の相手は、4スート・6キャラの手札破壊奇跡。スートは散っているが、時々いる「栞」のカードに全く勝てない。

最後の勝ち目は……そう思って、スペアカードを眺める。

……夜?

通れば勝ち目も見える……

念のための「うぐぅ」3枚も加えて、2戦目に挑む……

剣スート単色の使い手・海原先生から、ぎりぎりのフィールドクリアで1戦目をもぎ取ったボクは、2戦目をあっさり落とす。

そして、3戦目。手札を見る。「ふだん着名雪」「弓道着名雪」3枚ずつと、「フリフリあゆ」。

「……3枚スタックします。それでは、2枚ドロー……」

引いたカードは、「ブルマ名雪」「巫女名雪」。ボクに、何をしろと……?

仕方がないので、真ん中の列に3枚カードをスタック(フリフリあゆ、ふだん着名雪、巫女名雪の順で)、 フロントに3枚全てスタックした「弓道着名雪」を全て開ける。

先生の手札は……「夜食セット」「セーラー服舞」「ウェイトレス舞」「メイド服舞」の4枚。

……よほどのことがないと、勝てない気がする……

「……どう、水瀬さん?」

とりあえず、バトルを仕掛けなければ、あと3~4ターンある。それまでに、何とかできれば……

「ボクは、ターン終了です。先生、どうぞ」

「……許さない、3ゲーム目は、いっさいの反撃の余地を許さないわ……」

私は、目の前に座る、調子の悪いときの自分にそっくりな女に、惑わされていた。

川澄舞。私の、少し下の妹。お母様は、この子を産んで、体調が悪くなった。そこに、超能力騒ぎ。 私は、父方の親戚に引き取られ、お母様にはそれ以来、永遠に会えなくなってしまった。

そして、初めて美衣に会ったときも、この前も、彼女が上の空だった理由は、この妹のせい……!

全部、全部、全部、全部……!!

私の妹、私の不幸の元凶、今日、この場で運命に決着をつける……!

「渡さない、このゲームも、美衣も、過去も、未来も、何も……!」

「……?」

……この子は、自分のまいた種が、分かっていないらしい。だったら、分からせるだけよ……!

そして、戦いが終わって。

「……やっぱり、奇跡の相性ってあるよ」

「ストールが、フィールドクリアに強いとは……」

「強いよ。小悪魔栞、いるし」

「……納得、行きません……」

「でも、勝利ポイントを見れば、その差は歴然だろ?」

「……プレイングの差、じゃなくてですか?」

「こっちから見て、ミスはなかったと思ったけど……」

「そうですか……」

決勝戦第1卓。こちらは、羽対ストールで、順当にストールが勝った形。

「……この子(奇跡)、手札がないと、何も出来ないわ……」

「気にしなくても大丈夫よ、香里ちゃん。こちら、制服アローには強いですから……」

「名雪に合わせてコンボ奇跡なんて、やめておけば良かった……」

決勝戦第2卓。パーミッション対コンボで、こちらは、コンボ発動条件をかわしきったパーミッションが完封勝利。

「……やっぱり、何も出来なかった……」

「ええ。仕方がありません、あれは」

(意外にも、実は)優勝者決定卓。剣対時計で、これも順当に剣が勝つ。

「……夜食セット?」

「……だから、言ったでしょ?絶対に許さないって」

ブービー決定卓。3戦目に、オフェンシブサイドボーディングに成功した奇跡が、メタを狂わされた猫単色に、奇襲的に勝利する。

「……『川澄愛』?」

スコアカードの記入中、対戦相手・江戸川哀の本名に気づいた私は、少し、考えてみる。

「……苗字、一緒……」

「当然でしょ?今更気づいたの?」

吐き捨てるように、彼女は言う。

「私達、姉妹なんだから」

「……腹違い?」

「なわけないでしょう!……って、覚えてるわけないか。生まれてすぐ、離ればなれだもんね……」

少し落ち着いたのか、彼女はぽつぽつと語る。

「あんたが生まれてすぐ、お母様は病気になった。で、私だけが親戚に引き取られた。 どうしても、養子が欲しいってね……5年位してから、かな。お母様の訃報が届いたの。けど、私は参列できなかった。悔しくて、うらやましかった……」

「……目の前で死なれるよりは……」

「そっちの方がいいに決まってるじゃない!」

少し、声を荒くする。

「親の死に目にあえなかった、私の気持ちも分かってよ……」

「……悪かった」

「いいわよ、別に。……ところで、何で、美衣が『美衣』って名乗ってるか、分かる?」

「佐祐理?……知らない」

「『IMyMe』からだって。Iつまり私と、Myつまりあなたと、もう1人、って」

「……そう」

「……雑談はここまで。スコアカードを提出に行くわよ」

そして、約15分の後。

「……皆様、大変お待たせいたしました。それでは、表彰に移ります」

あたりが、すっと静まりかえる。

「優勝は、勝利ポイント12点、オポーネント27点、のーむさんです」

「2位は、勝利ポイント12点、オポーネント24点、謎ぢゃむさんです」

「3位は、勝利ポイント9点、オポーネント27点が2人いまして、Aらんちさんとばにらさんです」

それぞれに、佐祐理さん特製の携帯ストラップ(Kanonの手作りマスコット付き、メイン5キャラ)が配られる。 ちなみに、秋子は名雪、祐一は栞、栞はあゆ、香里は(コインフリップの結果)真琴をとる。

「で、今回のブービー賞は、勝利ポイント3点、オポーネント11点、江戸川哀さんです」

最後に残った「舞」のストラップを、「進呈」と書かれた封筒に入れて、ヘッドジャッジから手渡される。

「……中身は、お米券かしら?」

気の利いた哀のジョークに、会場は笑いの渦に巻き込まれる。

(……まさに1/2の確率で、私の手元に舞のぬいぐるみが来たのね……これも運命、かな?)

こうして、今回の大会は、幕を閉じた。

撤収も終わった、帰り道。

「ねえ、哀さん、舞」

「美衣、どうしたの?」

「また、機会があったら、こういう大会、開きたいよね」

「……佐祐理がそう言うなら」

「同じく。で、駅前に新しく、カードゲームショップが出来るみたいよ。デュエルスペース付きだと思ったから、そこを使ってみたらいいと思うよ……」

……街に繰り出すプレイヤーたちをよそ目に、佐祐理の家に向かう3人。

その中で、佐祐理は願う。

今日、トーナメントに参加された方全員が、幸せな夜を過ごせますように

そして、願わくば、今日という日が、彼らにとって最高の一日でありますように……

おしまい。

あとがき

今回は、雪国短期大学編最終回ということで、多次元中継っぽくした上で、オリジナルキャラ「江戸川哀」の謎を解こうとして、 頑張ってみたのですが、いろいろと詰め込みすぎました。

無茶苦茶、分かりづらかった気もしますが、雰囲気だけでも分かっていただければ嬉しいかな、という感じはします。

さて、今度のKanonは、Air編に入る前に、 名雪の謎の台詞「わたしは、本気でKanonTCGをプレイできない。それは覚えておいて」を解き明かすつもりでいます。

Air編、主人公は「天野美汐」にする予定です(予定は未定)。

ちなみに、この大会終了時の各キャラクターのプロフィールは、以下の通りです。

相沢 祐一(18歳もしくは19歳<祐一の誕生日、解ります……?、HN:謎ぢゃむ)

浪人生。東京の大学志望。 今回、ストール単色のバトル奇跡を使用、準優勝の座を勝ち取る。

水瀬 名雪(19歳、HN:いちごサンデー)

東京の、とある大学の経済学部1年生。相変わらずの眠り姫。 今回は、「エンドレスジハド」にて参戦、何事もなく2勝2敗で終わる。

美坂 香里(18歳、HN:Aらんち)

東京の、とある難関大学の工学部1年生。 今回、慣れないコンボ奇跡「制服アロー」を組んでくるが、最終戦で裏目に出る。

美坂 栞(17歳、HN:ばにら)

私立Kanon学園2年生(!)。祐一の恋人。 今回は、「奇跡的再会」を3枚装備した羽単色バトル奇跡。本人は、「エターナルウィング」と命名。この奇跡で3位タイ。

月宮 あゆ(19歳、HN:水瀬 冬美(みなせ ふゆみ))

私立Kanon学園1年生(!)。大学については全く眼中にない。 今回は、時計単色ハンドコントロール奇跡を組んでくる。結局、1勝3敗。

水瀬 秋子(年齢不詳、HN:のーむ)

相変わらずの、謎ジャムな生活。 今回は、羽・時計(+「ウェイトレス舞」+「栞の常備薬セット」+サーチ栞)ハンドコントロール奇跡で優勝。

倉田佐祐理(20歳、HN:海原 美衣(かいばら みい))

雪国短期大学教育学部2年生。教員の資格はとりあえず取っておく。 今回は、剣単色で参戦。最終戦、あゆに勝ったためオポーネントで秋子さんを優勝へ導く。

川澄舞(19歳、HN:まじかる☆さゆりん)

私立Kanon学園3年生(!)。留年2回目。 今回は、猫単色で参戦。唯一の4敗で、ビリ決定。

川澄愛(21歳、HN:江戸川 哀(えどがわ あい))

雪国短期大学理工学部3年生。 今回は、逃げコモンオンリー(スペアで、夜食イーブンに変身可能)で参戦、ブービー賞をげっと。

P.S.前回問題にした、「0の奇偶問題」は、5月中旬発売のガイドでは偶数と書いてありましたので、これで統一されそうです。

他にも、「バトルの負けは、破棄か?」とか、「対象喪失により立ち消えしたイベント(うぐぅ、ちょっぷ)は、カードドロー効果を持つのか?」とか、 KanonTCGについての疑問はたくさんありますが……