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elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その5

この話は、ティーアイ東京「KanonTCG」及び2000年9/2の「第1回KanonTCG公式大会」から取材しました。 会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 また、「Kanon」および「KanonTCG」のねたばれが一部あります。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第5話~小悪魔 中編~

「それでは、最初の席順を決めますので、端のほうによっていただけるようお願いいたします」

司会の方の、その言葉と一緒に、ぞろぞろと人が壁のほうによっていく。私と名雪も、それに続く。

「それでは、席を発表します。+++番、!!!番、……」

席順を、司会が読み上げる。さすがの名雪も、緊張の面もち。

「……、###番、***番、……」

私の番号が読み上げられる。

「それじゃ、名雪、行って来るわね」

「うん、ふぁいとっ、だよ」

私が席に座ると、少しして、対戦相手が姿を現す。

「……って、相沢君じゃない」

「香里か、いきなり当たっちまうとはな……」

「偶然ね。……さあ、始めましょう」

「……そうだな、それじゃ、始めるか」

こうして、私と相沢君の戦いが始まった。

名雪も、どこかの男の人と対戦を始めた。

これが、私達の最初の公式戦。……本気で行くわよ、相沢君!

おたく。

私の目の前にいる対戦相手を形容すると、そんな表現がぴったり。

せっかくだから、祐一さんの近くでプレイしたかったのに……。

祐一さんから離れて、ちょっとがっくり。

ちらりと祐一さんのほうを見る。

……なんか、対戦相手の女性に見覚えがあるような……。

まあいいわ、気合いを入れていきましょ。

ダイスロール。先攻は私。

カードを7枚引く。手札は、「小悪魔栞」「ウェイトレス栞」「ウェイトレス舞」「ショートパンツ栞」「奇跡の生還」「メイド服真琴」「小悪魔香里」。

その中から、左から「小悪魔栞」「小悪魔香里」「ウェイトレス舞」の順番で置く。相沢君もカードを3枚、フィールドに出す。

カードを2枚引く。「看護婦香里」「栞の常備薬セット」。右に「栞の常備薬セット」、真ん中に「ショートパンツ栞」「メイド服真琴」を置く。

そして、ウェイトレス舞を発動可能状態にし、「佐祐理さん特製弁当」を奇跡から手に入れる。

「相沢君、バトルフェイズに移っていいかしら?」

「かまわないよ」

私は、さっき開けたウェイトレス舞から、その目の前のカードにバトルを挑む。裏向きだったそのカードは、「フリフリ栞」。

「……引き分けかしら?」

「ああ、『ほんわか雰囲気』を発動するからな」

相沢君はフリフリ栞を捨て札置き場に置く。

「……って、バトル無効じゃない」

「そう。何かあるか?」

相沢君は私に第2ペイコストフェイズ・エンドフェイズの行動を聞く。

「……何もないわ」

そうして、次は相沢君のターン。

相沢君は、さきほど空になった、(私から見て)左側のラインに、3枚のカードをスタックする。 その後、彼は真ん中の「メイド服真琴」で私の「ウェイトレス舞」に勝負を挑んだ。

為すすべもなく、こちらが敗北。相手は、スートボーナスの宣言もしなかったくらいだ。

こちらの次のターン。

3枚のカードを引いて、手札のカードは、 「ウェイトレス栞」「奇跡の生還」「佐祐理さん特製弁当」「夜食セット」「小悪魔栞」「浴衣佐祐理」「看護婦香里」の7枚。

カードセットフェイズにはいる。左端に、「小悪魔栞」「佐祐理さん特製弁当」「夜食セット」をスタック。

ペイコストフェイズに入る。私は、「奇跡の生還」(コストはウェイトレス栞)から、さきほど捨て札になった「ウェイトレス舞」をフィールドに送り込む。 そして、そのウェイトレス舞をコストにして、夜食セットを表にする。

さらに、左の列にスタックされている「小悪魔栞」を2枚とも表にして、「フリフリ栞」を2枚、真ん中の列にスタックする。

「バトルを宣言するわ」

「……ああ」

そして、私は、自分のロケーションを真ん中に、相沢君のロケーションを、3枚のカードがスタックされている左側に指定した。

私のカードは「小悪魔香里」、相沢君のカードは「巫女栞」。私の勝ちである。

「もう一回よ」

「分かった」

夜食セットの効果で、さらにバトルフェイズを続ける。相沢君のロケーションを、もう一度左に。私のロケーションを、今度も真ん中に。

相沢君のカードは「もーもー真琴」。こちらのカードは、「ショートパンツ栞」。これも勝利である。

「……香里、調子に乗ってると、痛い目を見るぞ」

「その前に勝てばいいだけよ」

次の相沢君のターン。相沢君は、真ん中に1枚、左端に2枚のカードを並べ、バトル宣言。私の「小悪魔栞」に、「ふだん着栞」をぶつけてくる。

仕方がないので、私は「フリフリ栞」を捨て札にして、「ほんわか雰囲気」での引き分けを確定させた(つまり、「佐祐理さん特製弁当」で私の勝利である)。

「……あと4回」

「……その前に、佐祐理さん弁当がなくなるさ」

……させるわけない。次の私のターン。

引いてきたカードは、「狭まる資本」「ブルマ真琴」「ふだん着香里」。

そして、右端に「ふだん着香里」「看護婦香里」「浴衣佐祐理」をこの順でセット。

ペイコストフェイズにやることはなく、バトルフェイズ。

私は、攻撃のロケーションに右端を指定した。カードは、「栞の常備薬セット」。これをすぐに使い、「フリフリ栞」を右端の最後尾にスタック。

ずれてきて、バトルをするのは「ふだん着香里」。 で、相沢君のロケーションには、左端。 カードは、「ショートパンツ栞」。 お弁当があるので、こちらの勝ちである。

さらにもう一回。ロケーションはさっきと一緒。こちらは「看護婦香里」、相手は「メイド服真琴」。

「それは、『メイドの勤め』だろ」

相沢君が、特殊能力を使う。これでバトルは取り消し。相沢君の手札は4枚。

「……ターン終了よ」

そして、相沢君のターン。カードを3枚引くが、1枚しかカードをセットせずに終了。

「……何かあるわね……」

私は、終了フェイズに、残りの2枚の手札を使って、「狭まる資本」をうつ。

「ふっ、引っかかったな!」

そう言うと、相沢君はこれに対応して、「ファッションショー」を3連打(コストはすべて、「天使佐祐理」だった。……なぜなの?)。 私のイベントは、空打ちに終わった。

相沢君のフィールドに、ストールスートのカードがたくさん並んで終了。……が、その中に、エプロン真琴がいなかったことが、私の勝利を決定づけた。

次の私のターン。引いてきた3枚のキャラカードをすべて真ん中にスタックして、真ん中のロケーションからバトル。

そして、バトルに参加した「フリフリ栞」が「ほんわか雰囲気」を使用し、また勝利ポイント+1。 さらにもう一回、真ん中からバトルを仕掛ける。もちろん、無条件勝利である。

「……あと1ポイントね」

「……知ってる」

結局、相沢君がこの劣勢を跳ね返すことはなかった。

次の試合も、同じような感じで決着が付く。

「これで、私の2勝よ」

「ああ……負けたよ」

こうして、私は、初めての公式戦を白星で飾った。

……だから、KanonTCGを絵で買った人って、嫌いです。

だって、私の1ターン(正確には3ターン)キル、理解してくれないんですもの。

祐一さんとの試合なら、2セットマッチでわずか10分で勝負が決まってたはずなのに、 その人は、延々と説明を求め続けて、30分くらい、ずっと私にしゃべらせてました。

おかげで、しゃべり続けて、のどが痛いです。で、そのあげくに、「連絡先、教えてよ」ですって。嫌になっちゃう。

早く、祐一さんのところに行こう。

「あ、香里~、どうだった?」

名雪が、私のほうによってくる。

「相沢君に勝ったわよ」

「へー、祐一と当たったんだ」

「ところで、そっちはどうだったの?」

「うん、相手が九尾さん、て言う変わった人で、栞ちゃんの奇跡だったよ」

「……どんな奇跡?」

「祐一の奇跡に似てた。でも、もうちょっと防御的なの」

「ふーん、で、結果は?」

「勝ったよ。だって、私の奇跡だもん。栞ちゃんには相性、いいんだよ」

「哀れね……」

「祐一さん、どうでした?」

「負けた。……やっぱり、この奇跡、イーブンコントロールに弱い」

「残念でしたね」

「で、そっちは?」

「勝ちましたよ。相手が、おたくっぽい人で、好きになれなかったので、2回とも1ターンキルです」

「ひでぇ……けど、栞が嫌いなら仕方ないな」

「ですよね」

こうして、1回戦が終了した。

続いて、2回戦が始まる。

この4人は、持ち味をフルに発揮して、勝利を収めた。

そして3回戦。

……決着が付かない。

イーブンコントロール同士の戦いがこんなにきつかったなんて。

「……ターンを終了します」

「……こっちのターンね」

このやりとりを、何回繰り返したか。「佐祐理さん特製弁当」の数は同じ、「つかの間の休息」のコストの関係で、「夜食セット」も場に出せない。

……相手の、名雪の攻撃が、意外にきつい。こちらも相手のミスの隙をついて、何とか勝利ポイントを上げているが、それでも試合は五分五分。

勝利ポイントは、互いに5点ずつ。……時間は、30分を回った。

私の対戦相手は、菅野たくみという男性。「小悪魔香里」を「雪うさぎ」「栞の常備薬セット」でフル回転して、手札をうまく削ってくる。 コンボが使えないような手札から、思いつかないようなコンボを使ってくる。

しかし、私も頭脳では負けられない。「狭まる資本」を中心に相手の手札を削り、何とかして「ウェイトレス舞」を回しに行く。

……5分後。

相手が手札を使い切った。ここが勝負!

手札に温存しておいた「夜食セット」を場に出し、「浴衣佐祐理」で相手の弁当をつぶす。

フリフリ栞を捨て札にして、一気に2ポイントをもぎ取る。このとき、残り10分を切っていた。

「……参りました。では、スペアカードを投入します」

「ええ、こちらも」

……2回め以降は、全く違うゲームになった。

相手の出した夜食セットが暴走。相手の名雪に、こちらの栞が全滅。

さらに、スペアから持ってきた「盗賊名雪」は、相手の「浴衣佐祐理」の前にあっけなく散る。 結局、7戦全敗で4ターンキル。所要時間、わずか5分。

3回め。

こちらが先攻で、相手がスタックした枚数がわずか2枚。こちらの手札に、「ウェイトレス舞」「夜食セット」。

あっさりと1ターンキル。所要時間、わずかに1分。

……時間切れに、ならなかった。どういうことだったの?

それは、相手も同じように思っていたらしい。

「いやー、今の2マッチ目と3マッチ目、すごかったですね……」

「ええ。まさか、勝負が決まるとは思ってませんでした」

こんな会話を交わしながら、今の試合の余韻にふける。

心地よい疲れが、私と対戦相手の中に残ったに違いない……。

そのころ。

「栞ちゃん、気迫が違うね……」

「ああ、さすがは俺の彼女」

「もう、祐一さんってば」

「祐一、ひどい……」

名雪対栞の戦いが終わって、祐一を交えて3人が雑談をかわしていた。結果は、栞の勝利。

「そう言えば、祐一は勝ったんだよね」

「ああ」

「次、当たるといいね」

「俺はよくない。……『森の大木』の奇跡とも、相性が悪いからな」

「……あ、もう、次の発表が始まるみたいだよ」

「それじゃ、名雪さん、また後で」

「うん、ばいばい」

4回戦。

香里と栞は、難なく勝ち抜く。

祐一対名雪。

名雪の場は、表向きのカードが、たい焼きを含む5枚、裏向きのカードが2枚。

それに対して、祐一の場は、裏向きのカードが10枚。

普通に考えたら、祐一が有利だが、名雪の手札は7枚。

名雪「転倒、だよ」

祐一「……通し」

名雪「森の大木が表になるよ」

祐一「ぐあっ……それじゃ、メイド服真琴を3枚、残す」

名雪「それじゃ、天使あゆを表向きにして、エンジェルアローだよ」

祐一「……それで終わってる」

そしてラスト。

「###番、●●さん、%%%番、△△さん、???番、Aらんちさん、!!!番、ばにらさん、……」

座席が、読み上げられていく。

「……ここね」

私は、自分の座席を確保して、奇跡をシャッフルする。

ふと、目の前に人影が現れる。対戦相手の人だろう。

「ばにらさんですね、私、Aらんちです。よろしく……」

「え?お姉ちゃん?」

「……栞!?」

知らなかった。栞がこの大会に参加してるなんて……。

……試合前の、精神コントロールに、私は完全に失敗したようだった。

つづく。