elder-alliance.org トップ   ブログ   サークル   KanonTCG   マリみて   おとボク

elder-alliance.org  >  奇跡のかけら  >  KanonTCGSS  >  その4

この話は、ティーアイ東京「KanonTCG」及び2000年9/2の「第1回KanonTCG公式大会」から取材しました。 会社名・商品名に限り実在しますが、その他全てフィクションです。 また、「Kanon」および「KanonTCG」のねたばれが一部あります。 以上をふまえた上で、この話をお楽しみ下さい。

第4話~小悪魔 前編~

KanonTCGと言うゲームがある。

人は、そのゲームに魅せられて、大きな大会ならば、遙か遠い地からでさえ訪れるという。

そう、この大会を、ティーアイ東京公式大会という。

これは、そんな大会の魅力に魅せられて、東京は池袋まででてきた人たちの話である。

私は、また池袋の地に立っていた。

しかし、今度は自分の意志で。

そう、今日は初めてのKanonTCG公式大会。

ここにいるのは、名雪と私。相沢君は、別のルートで来るらしい。

ミラクルメーカーの構成員3人すべてが抽選に受かるとは、びっくりである。

……そう言えば、今日、栞もTCGの大会にでるって言ってたっけ?

なんの大会だろう? 私は、祐一さんと一緒に、池袋の地を初めて踏んだ。

目的地は、池袋サンシャイン。

とは言っても、残念ながら水族館でのデートではない。

今日は、KanonTCGの大会があるからだ。

私と祐一さんは、まっすぐに会場へ向かう。

「栞、少し疲れてるみたいだけど大丈夫か?」

「はい、このくらいは大丈夫です」

祐一さんに優しい声をかけてもらいながら、私はゆっくりと歩く。

高層ビルと高速道路を抜けた先に、こぎれいな建物があった。

「……ついたぞ」

これが、池袋サンシャイン。

そう言えば、お姉ちゃんも、KanonTCGのプレイヤーだっけ?

どうしてるのかな?

「……迷ったわ」

池袋サンシャインにはついた。

しかし、中に入ってからが問題だった。

見晴らしは非常にいい。

しかし、どこもかしこも流行りの洋服の店ばかりで、さっぱり道が分からない。

「くー」

名雪も、道がさっぱり分からなくなったらしく、寝てしまっているが、この状態でも手を引っ張れば歩けるのが名雪である。

(いつも思うけど……何なの、この子?)

とりあえず、案内看板や通行表示を当てにしてさまよう。

そうこうして、1時間も経とうかと言うとき。

「ふぁ……香里、あれじゃない?」

今までの、洋服店のエリアから抜け出そうかという長いエスカレーターが、目の前に現れた。

目の前には、クーラーの利いた商店街(?)の入り口があった。

しかし、祐一さんはその入り口から逃げるようにして、外の階段を選ぶ。

「祐一さん、中に入らないんですか?」

「入ると、確実に迷うぞ」

どうやら、中は迷路のように複雑らしい。

「でも、暑いですよ?」

「1時間迷うよりましと思え」

「……」

言うことを素直に聞くことにした。

そして、れんが造りの、スロープと交差した階段を上ると、広場の先に入り口が見えた。

「祐一さん、あそこから入るんですか?」

「そうだ。あそこから入らないと、絶対に迷う」

そうして、ミニカーの博覧会入り口を横目に、また階段を上がる。

さらに、横道に入って、エスカレーターを下ると、カードゲームフェスタ会場が、目の前に現れた。

とりあえず、エスカレーターを上って、さらにもう一段エスカレーターを上ると、目の前にカードゲームフェスタの会場が見えた。

時刻は10時15分。

9時半にはすでについている予定だったが、サンシャインは思ったよりも複雑だった。

「はい、kn***番の水瀬名雪様と、kn???番の美坂香里様ですね」

とりあえず、チェックを済ませる。

「大会の、ランキングIDの参加登録はいかがですか、200円です」

ランキングID……要は、偏差値みたいなものよね。(筆者注:全然違う)

競ってみるのもおもしろいかも。

「名雪、これ、申し込んでみる?」

「うん……そうする」

ランキングの申し込みをすることにした。

(ん?ハンドルネーム?)

「ハンドルネームって、何ですか?」

「インターネットとかで使う、自分の名前のことですね。漫画で言うペンネームみたいなものかな」

ということは、自分で勝手に決めればいい。

私は、名雪をちらりと見ると、ハンドルネームを「Aらんち」にした。

一方の名雪は、考え込んだあげく、ハンドルネームを「いちごサンデー」にしていた。

……私達って……

「祐一さん、ランキングID登録の受付、やってますよ」

「でも、俺たちには関係ないだろ」

そう言うと、祐一さんは懐からランキングIDカードを取り出す。

「そうでしたね」

私も、財布からカードを取り出す。

私のハンドルネームは「ばにら」、祐一さんのハンドルネームは「謎ぢゃむ」。

2人とも、インターネットでランキング登録していた。

祐一さんの方は、小さな大会にいくつかでているらしいが、私はこの大会が初めて。

ちょっと、不安と緊張が隠せない。

「大丈夫だよ、栞。この大会には、初心者だってたくさんいるんだ」

「はい、ちょっと安心しました」

そうして、私達は適当な席に着くと、配られた「奇跡管理シート」なるものに、カードの内容を書き始めた。

小悪魔栞、天使あゆ、シスター秋子……。

祐一さんに習った、「エターナル」奇跡。

私達の、去年の春と同じ「奇跡的再会」から始まるこの奇跡は、私の一番のお気に入りだ。

今、どこかから「悪魔……」と声がしたが、それは無視しておくことにする。祐一さんじゃないし。

私は、この奇跡に、「エターナル☆ラブ」という名前を付けた。

「奇跡管理シート……要は、これを写せばいいのね」

私は、自分の奇跡の内容を書いてあるメモ帳を常に携帯している。周りの人々と違って、私はこれを写すだけでいい。

「ん?奇跡の名前?」

困った……そんなこと、考えてない……。

名雪の方をちらりと見ると、「真夏の夜の夢」と、はっきりと奇跡の名前が書いてある。

考えてたのね……。

仕方ないので、他の場所を埋めながら、奇跡の名前を考える。

…………。

決めた。「栞ちゃん毒弁当デッキ」にする。

「それでは、奇跡管理シートとスコアカードの方を回収いたします。係員が回りますのでしばらくお待ち下さい」

この瞬間、勝負が始まった。周りの表情は様々。

水瀬名雪など、目を閉じて精神統一をしている人。

美坂香里など、自信満々の人。

美坂栞など、不安の表情を隠せない人。

相沢祐一など、エキスパンション先行パックのカードを入れてしまったため、後悔している人。(筆者注:この大会では、エキスパンション先行パックは使用禁止でした)

そんな表情の人たちを迎えながら、スタッフは語る。

「優勝者には、こちらのあゆの羽バッグがプレゼントされます。皆さん、がんばってください!」

こうして、この4人を含む総勢128人の勇者たちが、ティーアイ東京特製「あゆの羽バッグ」をかけて戦うことになった。

つづく。